牧師 松矢龍造
聖書の中には、偶像礼拝者のことを、しばしば淫婦に譬えています。これに「大」がついて
いますから、その規模と影響力が大きいことが考えられます。この大淫婦とは、歴代の反キリストの都のことです。かつてはエジプトであり、バビロン、そしてローマの都、さらに2000 年間の反キリストの都や、世の終末における反キリストの都のことでしょう。ヨハネの黙示録が記された時代では、大淫婦とは、邪悪な生き方と、恥知らずの驕りに満ちたローマの都を指しました。ローマという名前は、この首都を守護する女神の名前から来ていると言われます。ローマ帝国が支配している他の国の統治者は、その大淫婦なるローマと共に、みだらなこと、すなわち皇帝礼拝という偶像礼拝をしていました。
荒れ野とは、この大淫婦によって混乱と無秩序に陥った人間社会ことをたとえています。裁
きは、荒れ野から来るとイザヤは預言しています。この反キリストの勢力である大バビロン、みだらな女たちや、地上の忌まわしい者たちの母は、多くの富を所有し、世から称賛を受けています。さらに権力と快楽から来る汚れに満ちていました。そして反キリスト的な性質は、イエス様の証しをするために苦労している聖徒たち、またイエス様のために殉教した殉教者たちを苦しめることに、酔いしれる迫害者となって現れています。しかしついには、反キリストの勢力は滅びてしまいます。
反キリストの勢力は、創造主の栄光の為に文化を形成するとは思っていません。しかしキリ
スト者は、御聖霊の力によって、創造主の栄光の為に文化を形成し、主を恐れ敬う子孫を増やすために、宣教に励みます。赤い獣には、七つの頭と十本の角があります。この描写は、サタンなる竜と同じです。ですからサタンから力を受けた存在です。紫は王の身分を象徴しています。赤は、虐殺された神の民の血に関連しています。ですから女は、キリスト者を殺害したローマの皇帝のことでしょう。時に私たちは、毎日の生活から一歩引き下がり、身の周りの悪と罪の傾向を、主の御言葉に照らしながら見ることで、現実をはっきりと見ることができます。
命の書に名が記されていない反キリストの勢力は、現れたり、消えたりする獣を見て驚きま
す。もし迫害のない地域に住んでいる聖徒たちがいるなら、驚くよりも、難しい地域に住むキリストにある兄弟姉妹の為に、祈ることを忘れてはなりません。世の人たちが、大淫婦や偶像に惹かれてしまう要因の一つは、富と金です。一時魅力的に見えても、偶像には真の力も希望も永遠もありません。そして豪奢や贅沢な装いと不義は結びついてゆきます。大淫婦に惑わされてはなりません。光の源である神様から来る、上からの良い贈り物、完全な賜物に預かり、地の塩、世の光として、キリスト十字架と復活に生かされた歩となりませんか。
Comments